ピルってなに?

一般的にピルと呼ばれている経口避妊薬は、現在では低用量ピルのことをいいます。低用量ピルはOC(OralContraceptives)とも呼ばれて、高い避妊効果と生理の軽減効果などから、世界中で約1億人の女性に利用されています。

コンドームによる避妊法では3~14%の確率で妊娠する可能性がありますが、低用量ピルでは0.1~5%と非常に低く、ほぼ確実な避妊ができます。

また、ピルは月経困難症やPMS(月経前症候群)の症状の軽減、子宮内膜症の治療などにも利用され、女性の生活の質向上や社会進出などに貢献しています。

実はピルは避妊よりも生理の改善のために利用している女性の方が多いんですよ。

ピルの普及率

しかし、日本では欧米と比較してピルの普及率が非常に低くなっています。欧州では約30~50%、アメリカでは18%の普及率であるのに対して日本では1~3%といわれています。

日本でピルが普及していない原因としては、経口避妊薬としてピルが認可された時期が遅かったこともありますが、最も大きな要因はピルに対する偏見や誤解にあると思われます。

日本でピルが認可されなかった理由に「性の乱れ」や副作用に対する不安などが理由となっていましたが、最近ではそういったピルに対する認識にも変化が見られ積極的にピルを利用する女性が増えてきています。

    

ピルによる確実な避妊を

倫理の観点から考えても人工妊娠中絶は避けるべきです。感染症の不安や子宮に大きなダメージを与える人工妊娠中絶を避けるには確実な避妊が必要です。

現在のところ最も確率の高い避妊法はピルであることが判っています。そしてピルは女性が主体となってできる避妊法なのです。

                                     

ピルによるがんの発症率は?

ピルに対する誤解のひとつに、がんになるという間違った認識があります。統計では乳がんのリスクはピルを使用している場合と使用していない場合の発生率にほとんど差はありません。

子宮のがんには子宮の入り口に発生する子宮頸がんと子宮本体に発生する子宮体がんがあります。子宮頸がんはほとんどがHPV(ヒトパピローマウイルス)による感染症が原因で、約80%の女性が一生に一度は感染していると言われています。

ピルによって子宮頸がんが発症するのではなく、コンドームを使用しない性行為によって感染症のリスクが増えた結果、子宮頸がんを発症する考えられます。

子宮体がんと卵巣がんにおいては、むしろピルを長期間使用した場合は発症率が約50%減少することが明らかになっています。

                                   

副作用は?

ピルの副作用として主なものは二つあります。吐き気や乳房の張り、不正出血などの症状が出ることがありますがほとんどの場合は飲み初めて最初の生理までか、長い場合でも3か月で治まるといわれています。それでも治まらないようでしたら、ピルの種類を変えてみるのもいいでしょう。

もうひとつの副作用として血栓症があります。血栓症は脳梗塞や心筋梗塞の原因となる恐ろしい病気ですが、女性の場合は元々血栓症になりにくく、ピルによる血栓症の発症率の増加はあまり多くありません。

しかし、タバコを吸う女性ではピルによる血栓症のリスクは飛躍的に上昇します。ピルを利用するなら禁煙するべきです。

                                   

健康な子宮環境を温存する

現代の女性は30代で結婚して子供を生むケースが多くなり、いざ妊娠という時になって卵巣や子宮に問題が見つかることがあります。

子宮内膜症や子宮筋腫などの女性科系の病気に現代の女性の生理の回数が増えたことが関係しているといいます。

現代の女性は初潮が早まり子供を生む機会も減って、昔の女性と比べると一生のうちの生理の回数は増えています。

女性の体は妊娠から授乳期を含めると1~2年は生理が止まるので、昔のように20代で子供を何人も生むような場合には生理のない期間が長くありました。

そして、その期間は卵巣と子宮を休ませることができたのです。

子宮内膜症は子宮内膜を含んだ生理の血液が逆流して、卵巣や腹膜などに子宮内膜の一部が付着して起こるといわれます。子宮筋腫も妊娠回数の少ない女性が発生しやすいといいます。

したがって生理の回数が多くなることが、これらの病気の発生リスクを増やしていると考えられます。

排卵を抑制するピルは生理の回数を減らすので、これらのリスクを低くして卵巣や子宮を温存することができるのです。

(ピル使用期間中の出血は消退出血といいますが、このサイトではあえて生理としています)